【第1回】やさしい民法『不動産の所有について法はどのように定めているか』
最終更新日:2026.01.27
皆さま、はじめまして。このコラムを担当させていただくことになりました、平成国際大学の小西飛鳥と申します。民法の基礎について、コラム形式で紹介させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、第1回では、読者の皆様に関係の深い、不動産の所有について法律ではどのように定めているのかを見ていくことにしたいと思います。我が国の憲法は、憲法29条で財産権を保障しています。その財産権の保障を法律で具体化しているのが民法206条になります。民法206条は、所有者はその所有物を、法令の制限はありますが、自由に使用、収益及び処分をする権利を有すると定めています。つまり、所有者は、原則として、その物を自由に使っても、また使わなくても良いし、人に売っても良い、貸しても良い、あるいは壊しても良い、何をしても良いと定めているのです。そして、所有権を侵害された場合には、侵害者に対して、その侵害を排除する制度が設けられています(物権的請求権)。
所有権が法令で制限される場合があると民法206条は定めていますが、この法令による制限は、実は、そのほとんどは土地に関するものです。土地については、公共的な性格があることを前提に(土地基本法2条)、所有者の責務が定められています(土地基本法6条)。民法では隣地の所有者とその利用を相互に調整する制度を設けています(相隣関係)。土地の所有者が、その土地の工作物が原因で他の人に被害を及ぼした場合には、賠償責任を負わなければなりません(民法717条 土地の工作物責任)。他にも行政法により、土地の利用については様々な制限が課されています(建築基準法6条、都市計画法29条、農地法3条・4条など)。
次に所有している物が不要になったとき、所有権を放棄することができるでしょうか。民法は、239条第1項において所有者のない動産は無主物となり、2項において所有者のない不動産は国庫に帰属するとのみ規定しており、所有権を放棄できるのかは明文で定めていません。権利のあり方からすると、本来、権利なのだから自由に放棄できるとの帰結に至るのが原則ですが、放棄をした結果、国や地方自治体が管理の手間や費用を負担するのは不適当と考えられています。動産については、ゴミの回収手段が用意されていますが、土地については所有権を放棄する制度は用意されていません。例外的に土地を相続により取得した場合は、例外的に国庫に帰属する制度が用意されているにすぎません(相続土地国庫帰属法)。
第1回では、所有とは何か、特に土地の所有について、法は何を定めているのか、また、所有権はどのように制限されているのかを概観しました。次回は、誰が土地を所有できるのか、その主体についてみていきたいと思います。
